UGREEN NASでPlexを設定する方法
NASに保存した動画・音楽・写真を、パソコンだけでなくテレビ、Fire TV、スマートフォン、タブレットから再生したい場合、Plex Media Serverは有力な選択肢です。UGREEN NASのDocker対応モデルであれば、Plexを構築して、自宅のメディアライブラリを一元管理できます。Dockerについてよく分からない方は、先にDockerガイドをご覧ください。
ただし、Plexは自分で保存した動画・音楽・写真を管理して再生するためのメディアサーバーです。日本のテレビ録画番組をDTCP-IPで扱うRECBOXやnasne系の録画NASとは目的が異なります。録画番組の保存や配信ではなく、個人所有の動画ファイル・カメラ動画・スマートフォン動画・音楽・写真を整理して再生する用途として考えてください。

UGREEN NASでPlexを使う前提:対応モデルを確認
UGREEN NASでPlexを使うには、Dockerに対応したモデルが必要です。PlexはUGOS Proの標準アプリではなく、Dockerコンテナとして導入するためです。
| モデル | Plexの可否 | 補足 |
|---|---|---|
| DH2300 | 使えない | Dockerに対応していないため、Plexを導入できません。 |
| DH4300 Plus | 使える(制約あり) | Docker対応。ただしハードウェアトランスコードは利用できません。 |
| DXP2800 / DXP4800 Plus / DXP6800 Pro など | 使える | Docker対応。ハードウェアトランスコードにも対応します。 |
DH2300はDockerに対応していないため、この記事の手順ではPlexを構築できません。動画をテレビやスマートフォンで見るメディアサーバー用途を重視するなら、Docker対応モデルを選ぶ必要があります。
なお、Plexの4K再生やトランスコードが快適かどうかは、NAS本体の性能だけで決まるわけではありません。動画ファイルの形式、再生する端末の対応状況、家庭内のネットワーク環境が、それぞれ再生のしやすさに影響します。

Plex用のフォルダをUGREEN NASに作成
Plexをインストールする前に、NAS側でフォルダ構成を決めて作成しておきます。
- ブラウザでUGOS Proにログインします。
- ファイル管理を開きます。
- Plex用のデータを保存するストレージまたは共有フォルダを選びます。
- ルート直下、または管理しやすい場所に
Mediaフォルダを作成します。 -
Mediaフォルダの中に、Movies、TV Shows、Music、Photosを作成します。 - 同じ階層に
Plexフォルダを作成します。 -
Plexフォルダの中に、configとtranscodeを作成します。 - 作成したフォルダに、Plexコンテナからアクセスできる権限があることを確認します。
推奨するフォルダ構成は次のとおりです。
/Media
/Movies
/TV Shows
/Music
/Photos
/Plex
/config
/transcode
各フォルダの役割は次のとおりです。
| フォルダ | 役割 |
|---|---|
/Media/Movies |
映画、ホームビデオ、単発動画を保存します。 |
/Media/TV Shows |
シリーズ動画や番組形式の動画を保存します。 |
/Media/Music |
音楽ファイルを保存します。 |
/Media/Photos |
写真ライブラリを保存します。 |
/Plex/config |
Plexの設定、ライブラリ情報、メタデータを保存します。 |
/Plex/transcode |
トランスコード時の一時ファイルを保存します。 |
フォルダ設計で押さえるべきポイント
- 映画とテレビ番組は分けて保存します。Plexは、ライブラリの種類ごとに異なる方法でメタデータを取得します。
-
/configは特別に扱います。このフォルダには、ライブラリの構成、視聴履歴、取得済みのメタデータといった、Plexの動作に関わるすべての設定データが保存されます。/configを削除したり、一時的なフォルダに置いたりしてはいけません。 -
/transcodeは容量に余裕のある場所に置きます。トランスコードが発生すると、変換中の動画データが一時ファイルとしてここに書き込まれます。 - Plex用のメディアフォルダと、個人の文書やバックアップ用のフォルダは分けて管理します。
DockerでPlex Media Serverをインストール
フォルダの準備ができたら、DockerでPlex Media Serverをインストールします。
Dockerをインストール
- UGOS Proにログインします。
- アプリセンターを開き、インストールできるアプリの一覧からDockerを探します。
- Dockerをインストールします。インストールボタンを押し、完了するまで待ちます。
- インストール後、アプリ一覧またはデスクトップからDockerを起動します。

Plexのイメージを取得
Dockerでは、アプリの設計図にあたる「イメージ」をダウンロードしてから、それを実体化した「コンテナ」を動かします。まずPlexのイメージを取得します。
- Dockerのイメージ画面を開きます。
- イメージを検索する欄で、
plexinc/pms-dockerを検索します。これはPlex公式が提供しているイメージです。
- イメージをダウンロードします。タグ(バージョン)を選ぶ場合は、
latestを選んでおくと最新の安定版が取得できます。
Plexコンテナを作成
コンテナ作成画面では、以下の項目を設定します。
| 項目 | 設定例 | 説明 |
|---|---|---|
| イメージ | plexinc/pms-docker |
Plex公式のDockerイメージです。 |
| コンテナ名 | plex |
管理しやすい名前にします。 |
| タイムゾーン | Asia/Tokyo |
日本時間でログや更新時刻を扱うために設定します。 |
| PLEX_CLAIM | Plex公式サイトで取得したClaim Token | 初回起動時にPlexアカウントとサーバーを紐づけます。 |
/config |
NAS上の/Plex/config
|
Plexの設定、ライブラリ情報、メタデータを保存します。 |
/transcode |
NAS上の/Plex/transcode
|
トランスコード時の一時ファイルを保存します。 |
/data |
NAS上の/Media
|
動画・音楽・写真などのメディアファイルを読み込む場所です。 |
| ポート | 32400 |
Plex Web Appやクライアントアプリから接続するための主要ポートです。 |
| 再起動ポリシー | 自動再起動 | NAS再起動後もPlexを自動で起動させます。 |
| デバイス | /dev/dri:/dev/dri |
DXP系Intelモデルでハードウェアトランスコードを使う場合のみ設定します。 |
環境変数には、最低限TZとPLEX_CLAIMを設定します。
TZ=Asia/Tokyo
PLEX_CLAIM=取得したClaim Token
PLEX_CLAIMは、Plex Media Serverを自分のPlexアカウントに登録するためのトークンです。Plex公式のClaimページで取得し、コンテナの初回起動時に環境変数として渡します。すでにサーバー登録が完了している場合、この値は再利用する必要はありません。
次に、NAS上で作成したフォルダをコンテナ内にマウントします。
/Plex/config → /config
/Plex/transcode → /transcode
/Media → /data
/dataには、前の手順で作成した/Mediaフォルダを割り当てます。Plex Web Appでライブラリを追加するときは、この/dataの中にあるMovies、TV Shows、Music、Photosを指定します。
ポートは、まず32400を設定します。家庭内LANでPlex Web Appにアクセスする場合は、NASのIPアドレスとこのポートを使います。
http://NASのIPアドレス:32400/web
たとえばNASのIPアドレスが192.168.1.100の場合は、ブラウザで次のようにアクセスします。
http://192.168.1.100:32400/web
設定が完了したら、コンテナを起動します。起動後、Dockerのコンテナ一覧でplexが実行中になっていることを確認します。続いて、ブラウザでhttp://NASのIPアドレス:32400/webにアクセスし、Plex Web Appが表示されるか確認します。

Plex Web Appが開けない場合は、まず次の点を確認します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| コンテナの状態 |
plexコンテナが実行中になっているか確認します。 |
| ポート設定 |
32400が正しく割り当てられているか確認します。 |
| NASのIPアドレス | アクセス先のIPアドレスが正しいか確認します。 |
| フォルダマウント |
/config、/transcode、/dataが正しく割り当てられているか確認します。 |
| Claim Token | 初回登録が失敗していないか確認します。 |
Plex Web Appが表示されたら、次にサーバー名を設定し、映画、テレビ番組、音楽、写真などのライブラリを追加します。
Plex Web Appで初期設定
Plexコンテナを起動したら、ブラウザでPlex Web Appにアクセスします。家庭内LANに接続したPCから、次の形式で開きます。
http://NASのIPアドレス:32400/web
たとえば、UGREEN NASのIPアドレスが192.168.1.100の場合は、次のURLにアクセスします。
http://192.168.1.100:32400/web
Plexアカウントでログイン
Plex Web Appが表示されたら、Plexアカウントでログインします。初回起動時にPLEX_CLAIMが正しく設定されていれば、作成したPlex Media Serverが自分のアカウントに紐づけられます。
サーバー名を設定
最初のセットアップで、サーバーに名前を付けます。家庭内で分かりやすい名前にしておくと、Fire TV、スマートテレビ、スマートフォンなどから接続するときに見つけやすくなります。
例:
UGREEN-NAS-Plex
Home-Media-Server
Family-Plex
サーバー名を設定したら、ライブラリを追加します。Plexでは、動画、テレビ番組、音楽、写真をライブラリ単位で管理します。前の手順で作成したフォルダ構成に合わせて、次のように指定します。
| ライブラリの種類 | 指定するフォルダ例 |
|---|---|
| 映画 | /data/Movies |
| テレビ番組 | /data/TV Shows |
| 音楽 | /data/Music |
| 写真 | /data/Photos |
ライブラリを追加すると、Plexがフォルダ内のファイルをスキャンし、作品名・サムネイル・説明・公開年などのメタデータを取得します。
日本語タイトルの動画では、作品名が正しく認識されない場合があります。その場合は、ファイル名やフォルダ名にタイトルと公開年を入れると、誤認識を減らしやすくなります。
例:
/data/Movies
/Movie Title (2024)
Movie Title (2024).mp4
シリーズ動画の場合は、シーズン番号とエピソード番号を整理しておくと、Plex側で番組として認識されやすくなります。
/data/TV Shows
/Series Title
/Season 01
Series Title - S01E01.mp4
Series Title - S01E02.mp4
字幕を使う場合は、動画ファイルと同じフォルダに字幕ファイルを置き、動画ファイル名とできるだけ揃えます。日本語字幕を使う場合も、ファイル名が大きく異なるとPlex側で自動認識されないことがあります。
例:
Movie Title (2024).mp4
Movie Title (2024).ja.srt
Plexとテレビ録画NASは何が違う?
Plexはテレビ録画NASとは目的が異なります。Plexは、NASに保存した個人所有の動画、音楽、写真を整理して再生するためのメディアサーバーです。一方、RECBOXやnasne系の録画NASは、日本のテレビ放送を録画した番組を保存・再生するためのデバイスです。
| 比較項目 | Plex | テレビ録画NAS / RECBOX / nasne系 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 個人所有の動画・音楽・写真を整理して再生する | 地デジ・BS・CSなどの録画番組を保存・再生する |
| 代表的なコンテンツ | スマートフォン動画、カメラ動画、ホームビデオ、映画ファイル、音楽、写真 | テレビやレコーダーで録画した番組 |
| 視聴方法 | Plexアプリ・Fire TV・スマートテレビ・スマートフォン・PCブラウザ | DTCP-IP環境 |
| 著作権保護 | 一般的なメディアファイルの管理が前提 | 録画番組の保護ルールやDTCP-IP対応が関係する |
| UGREEN NASでの位置づけ | Plexサーバーとして、個人メディアの保存・整理・再生に使う | 録画番組専用NASとして訴求する用途ではない |

よくある質問
UGREEN NASならどのモデルでもPlexを使えますか?
いいえ、Docker対応モデルが必要です。DXP2800、DXP4800 Plus、DXP6800 ProなどのDXPシリーズと、DH4300 PlusではPlexを構築できます。DH2300はDockerに対応していないため、Plexを利用できません。
Plexのハードウェアトランスコードは無料で使えますか?
いいえ。Plexでハードウェアトランスコードを使うには、Plex Passが必要です。さらに、Intel Quick Sync対応CPUを搭載したモデルであること、Dockerコンテナに/dev/driをパススルーしていること、Plex Web App側でハードウェアアクセラレーションを有効化していることも必要です。DXPシリーズのIntelモデルでは、これらの条件を満たせば構成できます。対応モデルについては、UGREEN NAS DXPシリーズをご覧ください。一方、DH4300 PlusはQuick Sync非対応のため対象外です。
Plexは外出先から視聴できますか?
Plexのリモートアクセスを設定すれば、外出先から視聴できる場合があります。ただし、自宅回線のアップロード速度・ルーター設定・ポート転送・二重ルーター・マンション回線・IPv6 IPoE・CGNATなどの影響を受けます。最初から外出先視聴を設定するのではなく、まず家庭内LANで安定して再生できることを確認してください。
PlexとJellyfinはどちらを選べばよいですか?
ハードウェアトランスコードを無料で使いたい場合は、Jellyfinが選択肢になります。Plexはハードウェアトランスコードに有料のPlex Passが必要ですが、Jellyfinは無料・オープンソースで利用できます。アプリの対応状況、操作画面の使いやすさ、家族での共有のしやすさはPlexに分があります。

まとめ
UGREEN NASのDocker対応モデルを使えば、Plex Media Serverを構築し、NASに保存した動画・音楽・写真をテレビ、Fire TV、スマートフォン、PCから再生できます。
